
※『スカイリム』本編の主要なクエストとパーサーナックスの物語に触れます。
ご飯をごちそうになったから、これだけは
がたがたという揺れで目が覚めた。馬車の中だった。向かいの男が、やっと気がついたかと声をかけてきた。ずいぶん長く気を失っていたらしいが、早く目覚めたところで何も変わらなかっただろう。縛られた両手や、隣に座る人たちの有様を見る限りは。
前の席の男は、自分がどれほど理不尽な目に遭っているかを延々と訴えていた。私もひとまず、その意見には同意した。なぜ連れていかれるのかは知らないが、まず人を縛り上げるところから始めるのは、ちょっとどうかと思った。

ヘルゲンに着いて、ようやく自分たちがどこへ連れていかれていたのかが分かった。処刑場だった。もう少し目を閉じていればよかった。
名簿を確認していた兵士が、私の名前を見つけられなかった。私はそっと背筋を伸ばした。そうだ。何か手違いがあったのだろう。これで解放してもらい、お互い少し気まずく笑って、私はあの門から歩いて出ていけばいい。
担当者は、そのまま一緒に処理しろと指示した。
「あの、ないそうなんですが。私の名前が」
兵士が私を列の方へ押しやった。名簿をもう一度確認しようと言いかけたとき、先に逃げ出した男が矢を受けて倒れた。私は口をきつく閉じ、素直に列に並んだ。別の方法は、並びながら考えることにした。
ついに私の番が来た。今度こそ本当に死ぬんだと思ったそのとき、突然ドラゴンが現れた。
ドラゴンを見て、こんなにうれしくなることもあるのか。私は処刑台に首を乗せたまま、危うく歓声を上げるところだった。さっきまで私の首を落とそうとしていた連中が、ドラゴンに向かって矢を放った。余計なことはしないでほしいと止めたかったが、ドラゴンは私にまで分け隔てなく火を吐き始めたので、応援は即座に取り消した。
とにかく立ち上がって走った。誰かが塔の中へ入れと叫び、私は中へ飛び込みながら、こっちで合っているのかと尋ねた。返事を聞く前に壁が崩れた。ちょうど道を知っているらしい人が駆けていったので、そのすぐ後を追った。
洞窟を抜けたとき、私の手には武器があった。身につけているのは他人の服だった。一日にして、死刑囚から武装した無職になった。生きているという点では、かなりの前進だった。
リバーウッドの人たちは、快く食べ物と寝床を用意してくれた。腹いっぱい食べると、世の中も少しはましに見えた。彼らは、ドラゴンが現れたという知らせをホワイトランの首長に伝えてほしいと頼んだ。
「分かりました。行ってお伝えするだけでいいんですよね?」
村の兵士が足りないことも伝えてほしいと言われた。そうすると答えた。どうせ、これからどこで食べていくかも考えなければならないのだから、大きな街へ行ってみるのも悪くなかった。ついでに、ごちそうになった食事の借りも一度に返せる。
出発前に店へ寄った。商人は金の爪を盗まれたと嘆いていた。「金」という言葉につられ、もう少し詳しく聞いてみた。泥棒は山の上の墓へ向かったという。どの山かと聞いただけなのに、商人はもう私の手に爪があるかのように感謝していた。
「まだ、見つけてくると言ったわけではなくて。場所が気になっただけです」
彼は報酬も出すと付け加えた。
「いくらですか?」
外へ出て地図を広げた。やることが二つに増えていた。さっきまでは確かに一つだったのに。爪の件は道順を見てから考えることにして、ひとまず地図に場所だけ記した。印をつけたからといって、必ず行かなければならないわけではない。
どうせ同じ墓なのだから
ホワイトランの首長にドラゴンの話を伝えた。首長が村に兵士を送ると言ったので、私はうなずいた。これなら、食事の借りは十分に返した。帰ろうとすると、首長が私を魔術師のところへ連れていった。魔術師は、墓にある石板が一枚必要だと言った。
最初は、誰か別の人に頼んでいるのだと思った。ところが説明を終えても、彼は私だけを見つめていた。
「私が持ってくればいいんですか?」
そうだという。私は諦めて墓の名前を尋ねた。広げた地図には、すでにその場所が記されていた。金の爪を探しに行く、まさにあの墓だった。
これは、なかなか割のいい話だった。一度ダンジョンに入って、二人から報酬をもらえるのだから。爪だけを探しに、むやみに向かっていたら、同じ道をもう一度登るところだった。先にホワイトランへ寄って、本当によかった。
剣と盾をしっかり用意した。狭い墓の中なら、正面を守りながら戦えばよさそうだった。空中で何度か剣を振ってみると、なかなか頼もしかった。
墓に入ろうとしたら、入り口でいきなり矢を食らった。
ひとまず身を隠して傷を手当てし、岩の後ろに座り込んだ。上では山賊たちがこちらを捜していた。連中は高い場所にいて、私は下にいた。私の剣の腕が足りないせいではない。ただ、開始位置が不公平だっただけだ。
ちょうどさっき拾っておいた弓があったので取り出した。入り口を守る奴らの頭数だけ少し減らしてから入るつもりだった。戦士だからって地形を利用しちゃいけない決まりはないだろう。盾を持ったからといって、一生立っていなきゃいけないわけでもないし。
私はしゃがんだまま矢を放った。山賊が辺りを見回した。もう一発放った。上出来だった。少なくとも、私の体に穴は増えていない。
中へ入ってからも、同じようなやり方で連中の数をかなり減らした。扉の前でもしゃがみ、角を曲がる前にもしゃがんだ。そのうち、扉を見るだけで反射的に膝が曲がるようになった。ああ、剣はちゃんと腰に下げていた。道を塞ぐ蜘蛛の巣を切るのに、なかなか役立ったから。
巨大な蜘蛛を倒すと、蜘蛛の巣に縛られた男が助けてくれと懇願した。爪の行方を知っていそうだった。まず出してから話そうと言うと、彼は何度も礼を言った。
解放した途端、逃げ出した。
「いや、話をしてから行ってよ!」
私はすぐに後を追った。爪を持って逃げたのも腹立たしかったが、人の話をここまで無視するのもどうかと思った。幸い、彼はそう遠くない場所に倒れていた。近づいて爪を取り戻し、しまっていると、背後で石棺の蓋が開く音がした。
幸い、私はもうしゃがんでいた。
石の扉の前では、長いこと見当違いの壁ばかり調べていた。何気なく爪を裏返すと、内側に扉を開ける順番が刻まれていた。鍵にパスワードまで親切に書いてあるようなものだった。それも知らずに、壁ばかり撫で回していた。
扉の奥には、未知の文字が光る壁があった。近づくと、知らない言語が頭の中へ入ってきた。口の中で、その言葉を何度か転がしてみた。何かすごいものを覚えた気はしたが、肝心の使い方は教えてくれなかった。その間に、背後でもう一体の死体が起き上がった。使い方は後で調べることにした。
石板と爪をしっかりしまった。金になりそうな剣や兜も、かなり拾った。出口へ向かう途中、動きが鈍くなったので荷袋を開けると、なぜか皿が二枚入っていた。いつ拾ったかさえ覚えていなかったが、入れたときにはそれなりの理由があったのだろう。皿と安物の兜を床に捨てて、ようやくまた歩けるようになった。
山を下りながら、剣と弓の重さを天秤にかけてみた。盾まで売ってしまえば、荷物はずっと軽くなりそうだった。
でも、盾は残しておいた。もともとはそっちで始めたのだから。
ドラゴンも倒したんだし、もうそろそろ
リバーウッドで爪を返して報酬を受け取った。ホワイトランでは石板を渡した。計算はぴったりだった。墓一つで二つの用事を済ませ、懐も潤った。こんなふうに少しずつ、生活の足場を作っていけばよさそうだった。
立ち去ろうとしたところで、ドラゴンが現れたという報告が入った。
首長は西の監視塔へ兵士たちを送り、私にも同行を命じた。ドラゴンを直接見た人間が必要だという理由だった。
「あの、あのとき私がしたことは、逃げただけなんですが」
首長は、ドラゴンがどう攻撃してくるかは知っているだろうと切り返した。知ってはいた。火を吐く。だから逃げた。二つの事実はとても密接に結びついていたのに、口を開くほど私を連れていく理由ばかり増えていく気がした。結局、兵士たちと一緒に城門を出た。間近で見た経験が、こんなに危険な経歴になるとは思わなかった。
監視塔はすでに炎に包まれていた。兵士たちが前へ駆け出すと、つられて走りそうになったが、ドラゴンの開いた口を見てぴたりと止まった。正面には人が十分にいた。誰か一人くらいは、脇を担当しなければ。
私は崩れた壁の陰に陣取り、ドラゴンが地面に降りてくるたびに隙を突いて矢を放った。ちゃんと当たったか確かめようと顔を出した途端、炎が襲いかかってきて慌ててまた隠れた。私はほんの一瞬だけ見たかったのに、ドラゴンはほんの一瞬だけ炎を吐くということがなかった。
ドラゴンが倒れた後も、しばらくは壁の後ろでしゃがんでいた。兵士たちが集まっていくのを見て、ようやくそっと近づいた。
そのとき、ドラゴンの体が光り始めた。肉が燃え尽きて骨があらわになった。と思うと、そのまばゆい光がこちらへ降り注いできた。
「ちょっと、なんでこっちに来るの」
後ずさりしても無駄だった。正体の分からない光は、とうとう体の中へ流れ込んできた。私は慌てて腕や胸を触って確かめた。幸い、肌は燃えていなかった。呆然とした兵士の一人が、私を「ドヴァーキン」と呼んだ。ドラゴンの魂を吸収する者だという。

今、何が起きたのかは私もこの目で見た。私が知りたかったのは、あの妙な力が体に入ったままでも健康に支障がないのか、ということだった。ところが兵士たちは、早く叫んでみろと騒いでいた。真剣に私の身を心配しているのは、私だけだった。
私は人のいないほうへ体を向け、墓で覚えた言葉を叫んだ。喉から飛び出した声が、目の前の空気を強く押しのけた。兵士たちが驚愕してざわついた。ひりひりする喉を一度さすると、もう一度やってみろと催促が続いた。私は口をぎゅっと閉ざした。たった今ドラゴンを仕留めて魂まで呑み込んだ人間を、あれこれこき使いすぎじゃないか。
街へ戻る前に、私は地面に残ったドラゴンの骨を拾った。目にも見えない魂だけを持ち帰るのは、ひどくもったいなかった。こんな巨大なドラゴンを倒したのに、手ぶらでとぼとぼ帰るわけにはいかない。だが、骨をいくつか荷袋に押し込んだ途端、目に見えて足取りが遅くなった。一つくらい捨てていこうかと迷ったが、すぐにまた押し込んだ。きっと高く売れるはずだ。正確な相場は知らなくても、安物がこんなにずっしりしているはずはない。
身軽な格好の兵士たちは、さっさと先に行ってしまった。私は重い足を引きずってのろのろと歩いた。彼らが首長に私の活躍をどう報告するか想像した。そばで矢を何発か射た話くらいは付け加えてくれてもいいのに。そしてどうか、私が帰還中だということも忘れずに伝えてほしかった。とにかく向かってはいると。ただ、ほんの少し時間がかかっているだけだと。
城門に着いたとき、山の方から私を呼ぶ声が聞こえた。「ドヴァーキン」という叫びが野原に響き渡った。
「はい?」
思わず返事をしてから、辺りを見回した。幸い、私の間抜けな返事を聞いた人はいないようだった。首長に一部始終を話すと、山の上の「グレイビアード」が呼んだのだと言い、訪ねてみるよう勧めた。おまけに称号を授け、リディアという護衛までつけてくれた。
リディアは、私と私の財産を命懸けで守ると誓った。とても心強い言葉だった。私は感激してうなずきながら、そっと自分の荷袋を見下ろした。
「もしかして、荷物も少し持ってもらえる?」
彼女はもちろん私の荷を背負うと言って、両手を差し出した。私はぱっと顔を輝かせ、荷袋を開け放った。
「ドラゴンの骨なんだけど」
「見えています」
「これはただの骨じゃないんだ。私が初めて倒したドラゴンの骨だから。それに後で売れば、かなりの値がつきそうだし、何か装備を作るのに使えるかもしれないし……」
私の言い訳が続く間、リディアは黙って革の紐をほどき、荷物を受け取る場所を作った。
「いくつですか?」
私は足元に積まれた骨を見下ろした。荷袋の中には、まだ残っていた。
「一度に全部出したから、ちょっと多く見えるだけだと思う」
差し出した両手は空のまま、彼女は微動だにせず待っていた。私はため息をつき、残りも全部取り出した。
宮殿の階段を下りていると、男が近づいてきて、雲地区にはよく行くのかと尋ねた。私が口を開く前に、「行くわけないか」と決めつけた。
「たった今、そこから下りてきたところなんですが」
呆れて宮殿を指さしたが、男はもう顔を背けていた。追いかけて問いただそうとした瞬間、背後で重い骨同士がぶつかる鈍い音がした。リディアが苦労して荷物を背負い直していた。私は階段に向けていた手をそっと下ろし、向きを変えた。
城門を抜け、切り立った山を見上げた。山頂は厚い雲に隠れていた。
「今度は本当に、話を聞くだけで戻ってくるから」
誰に向けた約束なのか、自分でもよく分からなかった。リディアは静かにうなずいた。ひとまず、信じてくれる人が一人できた。
どうせ登るのだから
近くで見る山は、思った以上に横へ長く伸びていた。山頂を目指して歩いているのに、道はやたらと見当違いの方向へ続いていた。
地図と山を交互に見ていた私は、とうとう斜面をまっすぐよじ登ってみることにした。二、三歩登ると、決まって滑り落ちた。今度は足を横に向けて踏んでみた。すると、体が横を向いただけで、同じように滑り落ちた。
リディアがはるか下からこちらを見上げて言った。
「道はこちらです」
「分かってる。登れるかどうか確かめてみただけ」
もう一度だけしがみついてから、ようやく下りた。ズボンについた土を払いながら、道を探すには、こうしていろいろ試すことが必要なのだと付け加えた。リディアは返事をせず、もう歩いていた。私は慌てて追いつき、宙に浮いたままの説明を最後まで続けた。
イヴァルステッドに着いて、ようやく階段を見つけた。なんと七千段もあるという。その気の遠くなる数字を聞き、切り立った山をもう一度見上げていると、近くの男がやってきて、山の上に食料を届けてほしいと頼んだ。どうせ登るのだろう、と。
行き先が同じだからといって、私が山に登るというだけで、そこで必要な物が全部私の荷物になるわけではないだろう。
「どれくらい重いんですか?」
ああ、これを聞くんじゃなかった。断るつもりなのに、なんで荷物の重さを聞いてるんだ。
男が包みを差し出した。私は受け取り、リディアの方を見た。リディアはドラゴンの骨が肩に食い込まないよう、荷袋の紐の間に布を当てていた。私は自分の荷袋を開けた。
「これは私が持つよ」
段数を数えながら登っていたのだが、途中で狼が飛び出してきたせいで、いくつまで数えたか忘れてしまった。数え直しはしなかった。とにかく頂上に着けば、七千段を登りきった人間になっているのだから。

しばらくして、トロールが飛び降りてきた。
驚いて、とっさに矢を放った。矢は当たったのに、トロールは近づいてきた。もう一発当てたが、近づいてくる速さは変わらなかった。ドラゴンなら時々空へ飛び上がってくれるのに、こいつは一度も止まらなかった。その姿が、どんどん大きくなってきた。
「あ、ちょっと。ちょっと待って」
後ずさりしているうちに、段差につまずいて転んでしまった。リディアが腕を引いて起こしてくれる間も、私は真っ先に食料の包みを抱きしめた。私たちはひたすら下へ走った。私の弓とリディアの重い鎧が、交互にけたたましい音を立てた。やはり階段は、下りるときの方がずっと速いものだ。今、何段転がり落ちたのかは、わざわざ数えたくなかった。
しばらく息を潜めてから、また階段を登った。幸い、トロールは道の片側に寄っていた。私がリディアに反対側を指さすと、彼女は静かにうなずいた。今回の作戦は、長々と説明する必要すらなかった。
ただ、走るのだ。
走るたびに、包みの角が顎の下を叩いた。背後からは重い鎧の音が、猛烈な勢いで追ってきた。修道院の扉を勢いよく開けて全身で支えると、リディアが素早く中へ駆け込んだ。どうにか扉を閉めたあとも、しばらくは互いに何も言えなかった。
「ほらね? いちいち全部と戦わなくてもいいんだよ」
リディアは壁にもたれ、はあはあと息を整えていた。私も隣で、ぐったりと壁に寄りかかった。苦しい言い訳をもう少し付け加えるつもりだったが、まだ、そのための息が足りなかった。
落ち着いた後、食料を扉の外の箱に入れた。包みは最初よりも少し平たくなっていた。私が角を伸ばして結び目を直すと、リディアも反対側を掴んで手伝ってくれた。二人で形を整えると、だいぶ元の姿に近く見えた。蓋を閉めた。
グレイビアードの老人たちは、私が叫ぶ様子をじっくり見てから、さらにいくつかの技を教えてくれた。体を前へ矢のように飛ばす技も、その一つだった。彼らは庭の重い門が閉まる前に、通り抜けてみるよう指示した。言われたとおりにすると、体は文字どおり風のように飛び出した。
私はたった今通り抜けた門を一度振り返り、うらめしそうな顔で先生方を見た。
「こういう便利な技を、山の下で先に教えていただくわけにはいきませんか?」
その場に沈黙が流れた。
「登ってくる途中に、フロスト・トロールが一匹いるんです。初めて来る人は、あんなものがいるとは夢にも思わないかもしれないので。もちろん、私もまったく知りませんでしたし」
気まずい沈黙の後、最後の試験の説明が続いた。今度は、墓へ入って角笛を持ってくるという内容だった。ぼんやりとうなずいていた私は、ぴたりと動きを止めた。ちょっと待った。また墓から何か取ってこいって?
ようやくたどり着いた墓で、リディアと私は暗い水を渡り、物騒な罠をくぐり抜けた。部屋へ続く扉が現れるたびに私が癖で床にしゃがみ込むので、しまいにはリディアも自分からさっと身を低くするようになった。一度など、彼女のほうが私より先にしゃがんだ。私は彼女の隣に並んでしゃがんだまま、言い訳するようにささやいた。
「私、もともとは剣と盾で始めたんだよ」
リディアはもう、扉の向こうの敵をじっと見ていた。
「ほら、まだ腰に下げてるの、見えるよね?」
彼女は静かに、唇の前へ人差し指を立てた。私はそれ以上何も言わずに口を閉じ、背中から弓を取り出した。
奥まで行ったが、角笛はなかった。先に持ち去った人が、リバーウッドの宿屋へ来るよう書き置きを残していた。私は紙を裏返し、また読み直した。
「リバーウッドだって」
「ご存じの場所ですか?」
「よく知ってるよ。最初にご飯をごちそうになったところだから」
ぐしょぐしょのブーツから、泥水がぽたぽた落ちた。私はつま先を上げて、ぱたぱたと水を払いながら付け加えた。
「まあ、道に迷わなくて済むのはよかったね」
リディアは隣で、黙ってブーツの中の水を抜いていた。返事がなかったので、私もそれ以上いいところを探そうとはしなかった。
ここまでやったのだから、これだけは
角笛を盗んだのは、宿屋の主人デルフィンだった。私がどんな人間か、試してみたかったという。
「私が墓の奥まで入れる人間だということは、確認できたわけですね」
彼女は、そうだと答えた。
「次は入り口に立っていていただけませんか? 出てくるところで確認してもよさそうですが」
デルフィンは、見せたいものがあると言った。ドラゴンの墓だった。角笛も返してもらったのだから、ここで少し休んでも構わなかった。だが、ドラゴンに関わることなら、話は聞いておいた方がよさそうだった。私の体の中にも、ドラゴンの魂が一つ入っているではないか。私も当事者だった。考えるほど、知らん顔もしづらくなった。
宿屋の外では、リディアが待っていた。私は新しい行き先を説明した。話を聞いていた彼女は、扉の脇の椅子を引いて座った。
「少し休んでから行きます」
私は隣に立ったまま話の続きをしていたが、結局別の椅子を引っ張ってきた。いざ座ってみると、すぐに出発しなくてもいい気がしてきた。リディアがパンを取り出して半分に割った。私は半分を受け取り、デルフィンの話を最初からもう一度説明した。リディアは黙々とパンを噛みながら聞いていた。

ドラゴンの墓に着くと、ヘルゲンで見たあのドラゴンが、死んだドラゴンを蘇らせていた。名前はアルドゥインというらしい。ドラゴンたちの親玉のようだった。
死んだドラゴンが蘇る理由を探るうちに、エズバーンという老人と一緒に、古い壁画の前までたどり着いた。アルドゥインに立ち向かうための特別なシャウトがあると分かったが、それを教わるには、グレイビアードのいる山をもう一度登らなければならないという。
私は地図の上に指を置いた。
「ここ、行ったことがあるんだけど」
今度は、もっと上だという。
「ここも、かなり上だったけど」
とにかく、また登らなければならなかった。それでも、もう道は分かる。斜面に体をこすりつけて、無理やり登れるか試すような真似はしなくていい。リディアが山の方をちらりと見てから、私をじっと見つめた。
「普通に道を行くよ」
私は、彼女が聞いてもいないことに答えた。

グレイビアードの師は、パーサーナックスというらしい。会うには山頂まで登らなければならなかった。アーンゲールが、吹雪を払うシャウトを教えてくれた。私はリディアに、中で休むよう言った。
「今度は本当に、話を聞くだけで戻ってくるから」
彼女は荷袋を下ろしながらうなずいた。私の言葉を信じているかは分からなかったが、休むことには異論がなさそうだった。
宙に向かって叫ぶと、風が一瞬やんで道が現れた。だが少し歩を進めると、また吹雪が行く手を塞いだ。立ち止まって、また叫んだ。登っているあいだずっと、天気と押し問答をしなければならなかった。喉がかれ始めた頃、ようやく頂上にたどり着いた。
そして、巨大なドラゴンが一頭、目の前に降り立った。
私は反射的に弓を引き抜いた。ところが、ドラゴンが話し始めた。引き絞っていた弓を、そっと下ろした。彼がパーサーナックスなのだという。私は弓を背中に回し、パーサーナックスの顔色をうかがった。弓を向けていたのを見られただろうか。残念ながら、爬虫類の表情の読み方はまだ教わっていなかった。
「先生がドラゴンだとは知らなかったもので」
気まずい言い訳を聞いたパーサーナックスは、ドラゴンには独自の挨拶があると言って話題を変えた。彼が近くの壁に火を吐くと、ルーン文字が光を放った。壁の前に近づくと、知らない言語がそのまま頭に刻み込まれた。パーサーナックスは、たった今覚えた挨拶を自分にしてみるよう言った。
「顔に向かってですか?」
パーサーナックスは黙って私を見つめるだけだった。
「今覚えたばかりなので、うまく力を加減できるかは分かりませんが」
それでも、急かさず待っているようだった。私は目をぎゅっと閉じ、深く息を吸ってから火を吐いた。熱い炎がパーサーナックスの顎と首筋を容赦なく舐めていった。驚いたことに、パーサーナックスは満足そうだった。私はそっと口元を拭い、彼の様子を盗み見た。幸い、鱗一枚焦げた様子もなく、無事だった。本当によかった。師に会いに来て、師をバーベキューにしてしまったら、スカイリムのどこへ行っても言い訳のしようがなかっただろう。
口の中に残る、煙たい熱が引くのを待った。パーサーナックスは、ドラゴンは声で互いを認識するのだと言った。だからドラゴンにとっては、会話と戦いは変わらないのだという親切な説明も付け加えた。
「では、私がお話の途中で何度も質問するのも、喧嘩を売ることになるんですか?」
「もっと知りたいことがあるのではないか?」
「それはそうなんです。さっき教わった言葉もそうですし、ドラゴンの魂が私の体に吸収されたことについても伺いたくて」
「何から知りたい?」
私は監視塔での出来事を説明した。どこも痛くはないけれど、それでも確かめておいたほうがいい気がすると言った。パーサーナックスが口を開きかけたところで、墓で見た壁を思い出して話を付け足した。彼は黙って待ってくれた。
話している間じゅう、彼はそんなふうに何度も待ってくれた。
立ったまま説明を聞いていると足が痛くなり、座ってもいいかと尋ねた。パーサーナックスは、私が岩のそばにどかりと腰を下ろすまで話を止めていた。重い荷袋を下ろすと、気になることをいくらでも聞いていいような気がした。

彼の口からドラゴンの言葉が出ると意味を尋ね、前の説明とこんがらがると、また最初に戻った。山の下なら、誰かとこれほど長く話すと、たいてい地図に新しい目的地がいくつも追加されていただろう。だが今、ここでは、私の方から尋ねたいことを見つけていた。
アルドゥインに立ち向かうには、特別なシャウトが必要だった。パーサーナックスは、それを直接教えることはできないと言った。過去を覗かなければならず、そのためには「星霜の書」という古代の巻物が必要なのだという。
私は荷袋を開けた。巻物が何本か入っていた。一本取り出したが、端に書かれた文言を確かめ、また押し込んだ。炎を起こす巻物だった。火の吐き方はたった今彼から教わったので、必要なかった。
「では、その巻物はどこにあるんですか?」
パーサーナックスも、場所は知らないと言った。
私は荷袋を閉じた。手がかりが途切れたのは少し残念だったが、とりあえず当てもなく行ってみれば誰かが知っているだろう、などという無責任なことを言われなかっただけでもよかった。その巻物をどこで使い、なぜ必要なのかは、十分に理解できた。残っていたいくつかの質問をしてから、私は立ち上がった。
下へ戻ると、リディアが荷物を整理していた。
「どんな方でしたか?」
「ドラゴン」
彼女の手がぴたりと止まった。私も、山を登る前に下でその事実を聞いておけたらよかったのに。
「でも、いい方だよ。会ってすぐ、私が顔にちょっと火を吐いたんだけど、すごく喜んでた」
リディアは、呆気に取られたように私を見た。私は座り、最初から順を追って状況を説明した。巻物を探しに行かなければならないという厄介な話は、最後に回した。
いや、今度はやらない
巻物を探してさまよううちに、地図は立体的にも見なければならないという教訓を得た。雪山を下りて海にまでたどり着いたというのに、いちばん長く歩いたのは、光るキノコが群生する地下世界だった。この道が外のどこにつながっているのか気になりつつも、ひとまず無事に抜け出せることだけを願った。

目的を果たして戻る道中、金属で飾られた巻物を抱えていた。今度の戦利品は、自分で持った。荷物を分けて持とうとリディアに手を伸ばしたとき、彼女の荷袋の中に、初めて見る兜を見つけた。
「これ、いつ拾ったの?」
「さっきです」
「今かぶってるのよりいいやつ?」
リディアは兜を取り出し、あちこち眺めた。
「まだかぶってみていないので、分かりません」
「それなら、どうして持ってきたの?」
「ただ、気に入ったので」
私は兜と彼女を交互に見た。ドラゴンの骨をこれからも背負って歩く言い訳が、また一つできた。私たちは荷物を背負い直し、また歩き始めた。
山頂で巻物を広げると、パーサーナックスが言ったとおり、はるか昔の幻が目の前をよぎった。アルドゥインを地上へ落とすシャウトを覚えた瞬間、とうとう本物のアルドゥインが姿を現した。覚えたばかりの知識を忘れる暇もなかった。私は力いっぱいシャウトを放った。
シャウトは命中した。世界を呑み込むという悪竜が、地面へ真っ逆さまに落ちた。
そこからは、慣れたやり方で私も戦う番だった。牙が並ぶ方を素早く避け、弓を引いた。パーサーナックスも一緒に戦った。二頭の巨大なドラゴンの間をあちこちすり抜け、ふと見上げた空は、巨大な翼で埋め尽くされていた。うっかり味方を射てしまわないよう、何度も狙いを確かめなければならなかった。最初の挨拶で私の炎を受けてくれたからといって、鋭い矢まで寛大に見逃してくれるはずはなかった。
激しい戦いの末、アルドゥインは尻尾を巻いて逃げ出した。山の上には、パーサーナックスと私だけが残った。私は手足をそれぞれ振って体の無事を確かめ、散らばった矢を拾った。今度は、あいつがどこへ逃げたのかを追わなければならなかった。また面倒な課題が増えたという不平は、飲み込んだ。ほんの数分前まで、私に「明日やること」など、永遠になくなるところだったのだから。
山を下りてデルフィンとエズバーンに会うと、まったく予想外の話を聞かされた。パーサーナックスはかつてアルドゥインの右腕として、数多くの人間を虐殺した過去があるという。あとになってアルドゥインに背いたところで、昔の罪まで消えるわけではないと二人は口をそろえた。
私は口を固く閉ざしたまま、ただ聞いていた。自分が目にしたほんの一瞬の姿だけで、彼らの言葉が間違っていると反論することはできなかった。
結局、二人は彼を殺さなければならないと言い渡した。私はいつものように、「やるべきこと」を書きつける日誌を取り出し、そこへ黙ってパーサーナックスの名前を書き込んだ。
「山頂にいる、あのパーサーナックスのことですか?」
そうだという。同名異竜でも、よく似た別のドラゴンでもなかった。いきなり自分の顔に火を吐いてみろと言い、とてもよくできたと褒めてくれた、あのドラゴンだった。
私は少しの間、用意すべきものを数えてみた。矢を買い足し、回復薬と食料もしっかり用意しなければならなかった。荷袋を空けたら、また山を登るつもりだった。どこへ行けばいいかは、はっきり分かっていた。もう道を塞ぐ吹雪も払えるのだから、迷うこともないだろう。
また登っていけば、パーサーナックスは、私がまた何かを尋ねに来たのだと思うだろう。私はいつも気になることが多く、彼が答えている最中にも、不意に話を遮って質問していた。すると彼は、私の話が終わるのを待ち、前の答えとつなげながら、ゆっくり説明してくれた。今度もそうだとばかり思って、私を待ってくれるだろう。私が弓を引く、その瞬間までも。
「あのドラゴンは殺しません」
デルフィンが私をまっすぐ見た。私は少し言葉を選んだ。
「何をしたのかは伺いました。でも、私はあのドラゴンに教わって、ついさっきまで一緒に戦ってきたんです。今から行って殺せと言われても……私にはできません」
デルフィンは、あのドラゴンを始末するまでは、これ以上の協力はないと言い切った。
「分かりました」
私はしばらくその場に踏みとどまっていたが、未練なく背を向けた。外に出ると、リディアが影のようについてきた。私は懐から古びた日誌を取り出して開いた。びっしり詰まった予定の間に、さっき書き込んだ「パーサーナックス」の名前が危うげに挟まっていた。私はその名前の上に長いこと視線を落としてから、紙を半分に折った。
どこへ向かうのか尋ねるリディアに、私は短く答えた。
「ホワイトランへ行こう。まずは腹ごしらえしないと」
道を歩く間じゅう、胸の内で渦巻いていた言葉が、次々と口からこぼれた。あの年老いたドラゴンが最初にどう迎えてくれたか、私がどれほど細かいことまで聞いたか、星霜の書を読む場所をどう教えてくれたか。ずっとうなずいていたリディアが、ようやく口を開いた。
「火を吐いて挨拶なさった話は、先ほども伺いました」
「そうだっけ? じゃあ、これは話したっけ? ちょっと地面に座ってもいいかって聞いたとき……」
リディアは歩みを緩めず、水筒を開けて水を飲み、すぐに私にも渡した。私は渋るふりをしながら水筒を受け取った。そのおかげで、途切れることなく続いていた回想も、その辺りで止まった。
ホワイトランの市場へ着いた頃には、もう日が沈みかけていた。チーズをひとかたまり買って荷袋に押し込み、何歩か踏み出したときだった。肩にずしりと重みがのしかかり、足がぴたりと止まった。私はため息をつき、荷袋を大きく開けた。大きなドラゴンの骨を一本取り出し、新しく買ったチーズと交互に睨んだ。先を歩いていたリディアが戻ってきて立ち止まった。
「ちょっと待ってて。どっちか一つをなんとかすればいいだけだから」
このドラゴンの骨は、とても高価な品だ。少なくとも、商人に渡せばかなりの金になる予定だった。だが、あのチーズも、たった今、大事な金を払って買った食料だった。短くも激しい葛藤の末、私はチーズに大きくかぶりついた。味は悪くなかった。もう一口もぐもぐ食べてかさを減らしてから、ようやくドラゴンの骨を荷袋の隙間に押し込めた。

「リディア、あの骨、今は重くて役に立たないように見えるかもしれないけど……」
ばつが悪くなった私が言い訳を終える前に、彼女は黙って手を差し出した。私は食べかけのチーズを半分に割り、片方を彼女の手に載せた。リディアは淡々とチーズを受け取り、また先に立って歩き始めた。私も残りのチーズを口に放り込みながら、せっせと後を追った。
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