葬儀の終わらない庭 — エルデンリング

黄金樹の最も深いところに、まだ終わりを迎えていない死が横たわっていた。

黄金に輝く巨木と霧に沈む廃墟を眺め、丘の上に立っている、鎧を着た人物
The Warmth That Remains Nap Lee / made with Suno
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※この記事には『エルデンリング』本編の重要な設定、フィアのクエスト、関連するエンディングのネタバレが含まれます。

帰る部屋

祝福の前に座り、指を一本ずつ伸ばした。すべて伸ばしても、手はまだ剣の柄を握っているようだった。光の筋は、次に向かう場所を指していた。

かつて私たちが失った祝福。黄金の祝福を失い、狭間の地から追い出された私たちを、人々は褪せ人と呼んだ。長く背を向けていた光が再び現れたとき、私はその光をたどって狭間の地に戻ってきた。

黄金樹が見えた。遠い山脈よりも高く伸びる枝と、空の一角を埋め尽くす黄金の葉。その下にある崩れた建物や城壁までもが、とても美しかった。丘を下り、道端に打ち捨てられた遺体を見つけるまでは。

世界の秩序を形づくっていたエルデンリングが砕けたのだという。その破片を手にした女神マリカの子供たちは、この地の覇権をめぐって破砕戦争を繰り広げたが、結局、誰も王にはなれなかった。彼らはそれぞれの城に残り、城の下の土地は廃墟となった。祝福は私に、その土地を越え、エルデンリングの前に立つよう告げた。王になれ、と。

肝心の私は、兵士の守る道を一か所通り抜けるだけでも精いっぱいだった。身を低くして歩き、廃墟の中から金属のぶつかる音が聞こえると、まず剣の柄を握った。夜になると雨をしのげる場所を探し、崩れかけた壁に背をつけて休んだ。それでも風までは防げなかった。そんな夜には、王になった自分の姿はなかなか思い浮かばなかった。

メリナに出会い、円卓へと導かれたのは、疲れた夜が幾晩も積み重なったあとだった。王を夢見る褪せ人たちが集まる場所だという。部屋や廊下には、それぞれの仕事をしている人たちがいて、どこかから鉄を打つ音が聞こえてきた。

ここでも気を緩めるのは難しかった。それでも屋根があり、今すぐ私に襲いかかってくるものはいなかった。

鍛冶師の前を通り、奥の小さな部屋に入った。寝台に座っていた黒い服の女が顔を上げた。彼女はフィアと名乗り、少しのあいだ私を抱いてもよいかと尋ねた。

何かを探してこいとか、誰かを殺してほしいとか、そんな言葉が続く気がして、すぐには答えなかった。フィアは、私の生きる力と温もりを少し分けてほしいと言った。その代わり、私には「帳の恩寵」がもたらされるのだという。私はその言葉の中から、しばらく体を預けられるという意味を先に聞き取った。

武器を置いて膝を折ると、フィアが腕を広げた。どれほど体を預けてよいのか分からず、しばらくは肩に力が入っていた。背を包む腕の中で、少しずつ力を抜いた。部屋の外では、まだ槌の音がしていた。

温かい、とフィアは言った。

長い道のりと、いくつかの戦いをやっとのことで越えてきた体だった。こんなに疲れた私の体からも、誰かが温もりを得られる。それが不思議だった。

ろうそくの灯る部屋で、黒い服の女が、鎧を着て膝をついた人物を抱いている

フィアは故郷でしていた仕事を話してくれた。英雄たちから受け取った命の温もりと力を集め、身分の高い死者の傍らに横たわる人だった。そうして集めた命で、死者にもう一度の生を与えるのが「死衾の乙女」としての目的だったという。けれど、その仕事を終える前に祝福に導かれ、故郷を追われた。それでも彼女は、まだ死衾の乙女でありたかった。

フィアにとっては聖なる儀式でも、遺体の傍らに横たわり、新たな命を宿すという話は、私にはなかなか実感が湧かなかった。それでも、すべてを理解しなければこの腕の中にいられないわけではないと思った。

部屋を出るとき、再び武器を手に取った。フィアは、必要になったら戻ってくるように、何度でも抱いてあげると言った。次に戻ってきてもこの部屋は同じ場所にある。その思いに、少し気が休まった。

死を狩る人

Dは道端の遺体に謝っていた。きちんと葬ってあげられず、すまないと。あなたの魂が黄金樹に帰ることを願うと。金と銀が組み合わさった奇妙な鎧を着た彼は、私が近づいてからも、しばらく死者に語りかけていた。

死を狩る者だと名乗った彼は、近くの「死に生きる者たち」に気をつけるよう言った。近づくなという警告の意味を理解するのに、時間はかからなかった。

水に沈んだ廃墟で、骨が立ち上がった。肉のない手で武器を引きずるように近づき、剣で倒しても、散らばった骨のかけらの間にまた光が集まった。完全に立ち上がる前に、もう一度振り下ろさなければならなかった。

Dは彼らを狩り、死の根を集めていた。死の根は、死を広め、死者を再び立ち上がらせる根だった。彼から学んだ「死を正す聖律」で倒した骨は、二度と立ち上がらなかった。黄金律の形を呼び出し、誤った死を焼き払う祈祷だという。

Dにとって「死に生きる者たち」は、その存在自体が、この地の秩序である黄金律に反していた。許されない死なら、正さなければならない。そして彼にとって正すとは、結局、消し去ることだった。ほかの答えはないように見えた。

円卓に戻るたび、その部屋に寄った。武器を置き、体を預けることにも少しずつ慣れていった。

そんなある日、フィアが古びた「蝕まれた短剣」を渡してきた。持ち主を探して返してほしいという頼みだった。Dは短剣を見ると、持ち主を知っているから代わりに届けようと言った。私は彼に預けた。

次に円卓へ戻ると、鍛冶師の先にある別の部屋が開いていた。

部屋の中でDが倒れていた。

初めて見たときと同じ鎧を着ていた。ただ、今度は彼が遺体の前に立っているのではなかった。

その傍らにはフィアがいた。

Dの倒れた場所で、フィアは、貴い人から奪われた死の痕跡が、あるべき場所に戻ったと言った。円卓に伝えてほしいという言葉も残した。ゴッドウィンの死を妨げるな、と。死に生きる者たちは、自分たちの王を待っているのだと。

私は、フィアがDを殺す瞬間を見ていない。私の手を通った短剣も、彼女の腕の中で力の抜けた肩も、繰り返し思い浮かんだ。どちらの記憶も、もう一方の記憶を消せなかった。

フィアが姿を消したあとも、円卓の槌の音は止まなかった。廊下を通るたび、彼女の部屋のほうを見た。もう一度入ることはなかった。

分かたれた死

フィアが残した名前、ゴッドウィンについて、もっと知りたかった。円卓で死の痕跡を調べていた魔術師ロジェールを訪ねた。彼と話すうちに、ストームヴィル城の地下で見た顔を思い出した。

城の底で根と絡み合っていた顔は、巨大だった。獣の死骸にも、何かが人の顔をまねた姿にも見えた。私はその顔についてロジェールに尋ねた。

ロジェールは、その顔から遠い昔の死をたどった。エルデンリングが砕ける前、「黒き刃の陰謀」が起きた夜に、黄金のゴッドウィンが殺された。死ぬことなどないように思われた神の血族の中で、ゴッドウィンが最初に命を失った。刺客たちの刃には、死のルーン、すなわち「運命の死」の力が刻まれていた。それは黄金律が築かれたとき、エルデンリングから取り除かれ、封じられた力だった。

その話を聞き、私もロジェールの調査を手伝った。刺客たちが使った刃を調べるうちに、魔女ラニの名前が出てきた。

ラニは人形の体で私を迎えた。死のルーンの欠片を盗み、儀式によって、神を殺す黒き刃を作ったことを否定しなかった。

ただ、私の探す死の痕跡は、今の人形の体にはないとラニは言った。自分の肉体は殺して捨てており、その痕跡は捨てた体に残っているという。

のちにラニの仕事を手伝う中で、その肉体のある神授塔にたどり着いた。塔の頂には、焼けた体が残っていた。その体に刻まれた半円の痕跡が、「死の呪痕」だった。

呪痕を手にして、ようやくあの夜の出来事を理解できた。本来、デミゴッド最初の死には、一つの完全な円が刻まれるはずだった。けれどあの夜、ラニとゴッドウィンは同じ瞬間に、それぞれ異なる半分の死を迎えた。ラニに残ったのは魂で、ゴッドウィンに残ったのは肉体だった。一つの円になるはずだった死の呪痕も、二人に半分ずつ残された。

だから肉体を失ったラニは、人形の体で私と話すことができた。一方、魂を失ったゴッドウィンには、完全には死にきれない肉体だけが残った。

明るい色と暗い色の破れた紙の上に、向かい合って置かれた二つの半円

ゴッドウィンは王都の下、黄金樹の深い根に葬られた。英雄の遺骸を黄金樹に帰す葬儀だった。けれど、彼の体に残った死は、根を伝って広がった。その先から死の根が芽吹き、墓地の骨が再び立ち上がった。

ロジェールの言葉を思い出した。彼は、Dが狩っていた「死に生きる者たち」を救うために、死の呪痕を探していた。彼らは自ら罪を犯したのではなく、律の欠陥に触れて、そうなっただけなのだという。

私に襲いかかってくる者たちを止めなければならないことは、変わらなかった。けれど、私にとって危険だからといって、そうして生まれたことまで、彼らの罪になるのだろうか。

ふと、祝福を失い、この地から追い出された私たちのことも思い出した。再び光が見えたときは、帰れるという思いが先にあった。そもそも、なぜここにいられなかったのか。それまで私は尋ねたことがなかった。

祝福のなかったあいだ、私たちには、この地にとどまる資格もなかったのだろうか。

終わらない葬儀

旅の途中、王都の外れの墓地で、小さな直剣を手に入れた。最初に死んだデミゴッド、ゴッドウィンを弔う「黄金の墓標」だった。剣には幼い少年の祈りが込められていた。

「兄様、兄様、正しく死んで下さいな」

少年の名前は知らなかった。死んでほしいという願いの前に、「兄様」が二度も添えられていた。恨みなら、かえって理解しやすかっただろうに。すでに死んだ人を弔う剣に、その死が正しく終わることを願う心が残っていた。

地下の崩れた都市と水道橋を抜け、深い根にたどり着いたとき、伝承でしか聞いたことのなかったゴッドウィンの体が目の前にあった。鱗に似た肌を持つ肉体は根と絡み合い、どこが顔なのか、どこまでが体なのかさえ、すぐには分からなかった。

巨大な根に絡まる顔と鱗のような肉体を見上げる、小さな人物

ストームヴィル城の下であの顔を見たときは、城の地下が汚染されているのだと思った。深い根にたどり着いて、ようやくそれだけではないと思い始めた。地全体が、一体の遺体に変わりつつあるようだった。かつて黄金と呼ばれていたという王子を、目の前の姿に重ねようとしても、うまくいかなかった。

彼がどんな声で話し、誰と笑い、何を恐れていたのか、私は知らない。ただ、誰かが彼を兄と呼び、この死が正しく終わることを祈った。

剣の柄に置いていた手を下ろした。何をすればこの葬儀が終わるのか、分からなかった。

いや、抱かれたい

王子の体に近づくと、フィアを守る英雄たちの霊体が行く手をふさいだ。彼らを倒して、ようやく再びフィアと向き合った。フィアは、すぐには抱いてくれなかった。何をしに来たのかと尋ねた。黄金律に固執する者たちのように、自分たちと、そのあり方を否定しに来たのか、と。

Dの鎧が浮かんだ。フィアの後ろには、ゴッドウィンの巨大な体が横たわっていた。私は手にしていた武器を下ろした。

「いや、抱かれたい」

フィアは、自分は死に生きる者たちの庇護者であり、「穢れの魔女」と呼ばれていると言った。彼らに向けられる嫌悪や憎しみも、自分が引き受けるべきものなのだという。それでも本当に、この腕の中に来るのかと尋ねた。私は近づいた。

背を包む腕は、円卓でのそれと同じだった。目を閉じても、Dの死と、今しがた倒した霊体たち、私たちの後ろに横たわるゴッドウィンの体が浮かんだ。この腕の中には、彼らまで一緒に入っているようだった。なぜフィアがこの体の傍らに残っているのか、聞きたかった。

フィアはゴッドウィンを「死王子」と呼んだ。Dの死のあと、フィアが取り戻したと言っていたのは、ゴッドウィンの体に刻まれていた呪痕だった。けれど、それは半分にすぎなかった。待ち望む王を迎えるには、同じ形の呪痕をもう一つ探さなければならないという。

ラニの捨てた肉体から持ってきた呪痕を取り出すと、フィアはすぐにそれが何か分かった。これでゴッドウィンに新たな命を与えられるだろうと言った。彼女の言う新たな命は、「死に生きる者たちのルーン」だった。フィアはゴッドウィンの傍らに横たわり、そのルーンを宿そうとしていた。二つに分かたれた死の痕跡が一つにつながって生まれるルーンを、彼女は自分の子と呼んだ。

手の中の呪痕を見下ろした。Dに短剣を預けたことを思い出し、すぐにはフィアに差し出せなかった。彼に起きたことを、正しいとは思えなかった。それでも、死に生きる者たちが、もう狩られずに済むことを願った。私にこの地へ帰れという呼びかけがあったように、彼らにも、この地にとどまる場所が必要だった。

私は呪痕をフィアの手に渡した。

フィアは、王になってほしいと私に頼んだ。自分が産むルーンでエルデンリングを修復し、死に生きる者たちが迫害されないようにしてほしいという。

初めて黄金樹を見上げたとき、王という座もそれと同じくらい遠くにある気がした。けれど今は、私を抱いてくれた人が目の前に座り、私が王になったあとのことを話していた。

最後の挨拶

フィアは満足していると言った。他人が決めた遺骸の傍らに横たわるのではなく、自分の意志でゴッドウィンの傍らに横たわるのだと。最後の挨拶を告げながら、その子は私の温もりも受け継ぐだろうと言った。

円卓の小さな部屋で、疲れた体を少し預けたときには、渡した温もりがここまで届くとは思わなかった。円卓に帰れないかと、尋ねたかった。またあの部屋に座っていてほしいと。フィアの無事を願う気持ちには、自分が帰る部屋を一つ失いたくない気持ちも混じっていた。

けれどフィアは、もう別れを告げていた。何を言えばよいか迷い、結局、口を閉じた。彼女が眠ったあとも、しばらく傍らにいた。眠る体にそっと手を置いた瞬間、目の前の景色が変わった。私は死衾の夢の中に入っていた。

そこには巨大な竜が待っていた。周囲には激しい雷が落ち、赤い稲妻が地を裂いた。稲妻の通ったあとには、死の霧が残った。隙が見えるたび、斬っては退いた。フィアの傍らで考えていたことを、考え続ける余裕はなかった。

赤い稲妻が広がる廃墟で、巨大な黒い竜と向き合う、剣を持った人物

竜を倒したあと、残された「追憶」を得た。そのとき初めて、今まで戦っていた相手の名前と、それまでのいきさつを知った。

フォルサクス。古竜で、ゴッドウィンの友だった。

ゴッドウィンが死王子となったあとも、彼は友の内に宿る死と戦った。けれど、長い戦いを経ても死を追い出すことはできず、最後には自らも蝕まれ、死竜になった。

黄金の墓標に祈りを残した少年は、王子が正しく死ぬことを願った。フォルサクスは、王子の内に残った死と最後まで戦った。どんな思いで、それほど長く耐えていたのかは分からなかった。その抵抗はゴッドウィンにとって、ほんの少しでも慰めになったのだろうか。

もうフォルサクスは雷を呼ばなかった。

私はフィアのもとへ戻った。

夢から戻ったあと

ゴッドウィンの傍らに横たわるフィアは、近づいても顔を上げなかった。彼女の名前を呼んだ。円卓で何度も聞いた挨拶は返ってこなかった。

彼女の体には、「死王子の修復ルーン」が残されていた。二つに分かたれた死の呪痕が、一つにつながっていた。フィアが自分の子と呼び、私の温もりも受け継ぐだろうと言ったルーンを、そっと受け取った。

王になり、このルーンで砕けたエルデンリングを修復すれば、黄金律の下で狩られていた者たちもこの地にとどまれるよう、世界の律を変えられるだろう。

けれど、ルーンを一つ手に入れたからといって、目の前のすべてが変わったわけではなかった。頭上では、まだゴッドウィンの巨大な体が根と絡み合っていた。彼は昔の姿には戻っていなかった。この力で死の根の危険まで、すべて消えるのか。地上で剣を持って襲いかかってきた死者たちと、どう共に暮らせばよいのかも、分からなかった。

私はまだ王ではなかった。

それでも、エルデンリングの前に立つなら、このルーンを使おうと決めた。初めて、そこに立ちたい理由ができた。

またフィアを見た。帰ってきたら何度でも抱いてあげるという言葉は、もう聞けないような気がした。

大きな根の下に横たわる黒い服の女の傍らに座り、その手を握っている、鎧を着た人物

フィアの手を握ったまま、しばらくそうしていた。その指にまた力が戻るのを待つように。帰れないかという言葉の代わりに、もう一度名前を呼んだ。

ルーンをしまったあとも、武器は床に置き、傍らに座っていた。立ち上がるときになって、握っていた手をフィアの胸元に置いた。肩からずり落ちた黒い布を少し引き上げ、また滑り落ちないか確かめた。

それからようやく、床に置いていた剣を拾い上げた。


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